谷中喃々堂 |
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どうしてここに惹かれてゆくのだろう。
真鶴に行ってきました。 川上弘美さんの『真鶴』という小説を読んで、何年か前に訪れたことのある場所。 また行きたくなって、再訪しました。 東京駅から東海道線に乗ってゆられること約1時間、真鶴駅に到着します。 真鶴半島は、人がまばら。 真鶴港で釣りを楽しむ人とか、半島ウォーキングする人が、ぱらぱらといるくらい。 バスに乗って、岬の突端を目指します。 終点で降りて階段を下りていくと、海辺に到着します。 たよりなく風にたなびくハマダイコン。 岩の上に腰掛けて、遠く伊豆半島を眺めました。 川上弘美さんの小説のなかで、よく読みかえすのが『センセイの鞄』と『真鶴』です。 『センセイの鞄』を読むときは心が満たされてくるのですが、 『真鶴』は本を手にしただけで、わずかに気持ちがざわつきます。 文体にひきずられ、読むというより、ひたされ、覆われてしまう。 実際に真鶴を訪れても、どこかこの本の雰囲気を通して景色を眺めているみたい。 こんな場所で、雨のそぼ降る中、お林の道を、「ついてくるもの」とともに歩き続けていたら、 生も、死も、過去も、未来も、すべてがにじんでしまって、見分けがつかなくなって、 帰れなくなってしまいそうだ。 どうして、真鶴だったんだろう。 川上さんに聞いてみたいなぁと思いつつ、答えの出ない問いかけをします。 傾きかけた陽射しをあびながら、浜辺を歩きました。 ハマヒルガオの花言葉は、「絆」です。 3.11以降、よく眼にするようになったことば。 これは何の実かなぁ。 触れるとまだやわらかくて、ゴムみたいな感触でした。 きっとまた、ここに来るんだろうな。 何もありはしないのに、何かを求めて。
by kitokito-kamome
| 2011-05-20 00:04
| 真鶴
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